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財政難の新宮市と、経営良好な第三セクター

11/30に議員説明会が開催されました。

議題のひとつが、市の第三セクターである新宮港埠頭株式会社(以下、埠頭[ふとう])と新宮市の土地売買の契約についてでした。

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新宮市が、埠頭から、平成29年度中に11億6800万円で土地を購入してもらうという契約です。これを変更して、平成34年度まで延長したいというものでした。

埠頭は新宮港の荷役(船荷のあげおろし)を受け持つ第三セクター(新宮市が50%出資)で、平成27年度は1億2000万円の利益を上げており経営も順調です。契約の土地は、埠頭が市に賃料を支払って利用しています。もともとは、すでに解散した「土地開発公社」とこの埠頭が平成19年に結んでいた契約ですが、土地開発公社が解散し市が土地と借金を引き継いだことに伴い、埠頭との契約も市が引き継いていました。

この契約に対して、埠頭から「買い取る金額を下げてほしい」と平成27年5月に申し入れがあったということです。(これは、近年市が港の土地の価格を下げて売却したことも原因と思います。)
そして、現在まで1年半協議が続いてきました。%e6%96%b0%e8%a6%8f%e3%83%89%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%a1%e3%83%b3%e3%83%88-27_2

今日の説明会で市は、協議がまとまらず、土地を購入してもらう期限を5年間延長したいので、契約を変更したいとう考えを示しました。

しかし、契約の期間を延長するということは同時に、購入してもらう金額を下げる、ということになる可能性があります。なぜなら、埠頭は土地を購入しない間は賃料を払い続けることになるため、埠頭にとってH29年度以降の支払いが「賃料+購入時に払う金額」になるからです。

埠頭は、新宮市の第三セクターです。市の幹部職員も役員に名を連ねています。そして、経営状態も良好(経営状態が良いということは、会社の方のこれまでのご努力があるからだとは思います)。それに対して新宮市は、財政難です。

埠頭がナマズの養殖などの新規事業を行うということが、期限を延長する一つの理由ということでしたが、それは果たして理由になるのでしょうか。
6月にナマズの養殖事業について議会に対して説明があったときには、市長はその事業予定の場所さえ把握していませんでした。
市が50%出資している第三セクターであるにも関わらず、市は「民間企業としての側面が強い」と言い新規の事業計画についての詳細資料も議会には示していません。
そして、この売買の契約について議論した記録も一切残していないということです。

11億6800万円のうち、2億5000万円はすでに受け取っているということですが、残りの9億円が予定通り入ってこないということは市にとって大きな問題です。市の特進プロジェクトの文化複合施設でも2億円・3億円といった金額が事業の縮小を左右してきたのです。
並河は以前から、新宮港埠頭は市の情報公開の要綱にも加えられておらず、透明性が低いことを問題視しています。今日の議員説明会では、新宮市は財政難であり、3セクの埠頭の財政が良好ならば、契約通りに支払ってもらうべきでだという考えを伝えました。

多くの議員からも、契約変更や、契約変更の理由について了承できないとの意見が出て、議長は市に対して、考え直すよう申し入れました。